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トニーに憧れて

トニー賞授賞式・ミュージカルが好き。名曲や名台詞で英語勉強&観劇記ブログです。

真実とは何かに思いを馳せた「冬物語」@恵比寿ガーデンシネマ

【鑑賞記】シアターライブ


イギリスの演劇作品「冬物語」のライブビューイング上映を恵比寿ガーデンシネマで観てきました。(2017年2月末)

ブラナー・シアター・ライブ(BTL)とは

公式HPの説明をお借りすると、

世界で活躍する俳優・監督のケネス・ブラナーが率いるケネス・ブラナー・シアター・ カンパニーによるロンドン、ギャリック劇場での上演舞台3作品を、世界の映画館でお楽しみ頂ける<ブラナ ー・シアター・ライブ> (BTLive) が日本に上陸!イギリスでハリウッド大作をしのいでオープニング興収1位を記録したジュディ・デンチ出演「冬物語」を始め、今シーズンは傑作3作品を日本の映画館でお楽しみ頂けます。
HPより)

というものです。

もともとナショナル・シアター・ライブ(NTL)という、英国・ロンドンにある国立劇場(ナショナルシアター)で上演された上質な演劇を映画館でみられるというのを知り、日本の映画館での上演をちょこちょことチェックしていました。すると、恵比寿のガーデンシネマにてNTLの「戦火の馬」の上映の情報を発見。そこで同じ期間にBTLの「冬物語」の上映もあるとしり、BLTのことを知ったのでした。
上演期間1週間のうち全日程で日中は「冬物語」、夜は「戦火の馬」が上演されていたので都合により「戦火の馬」は行けず…。いまのところ「戦火の馬」は今後の日本での上映許可が下りていないとのことでとっても残念でしたが、これをきっかけに知って観てきた「冬物語」がとってもおもしろかったです!

冬物語とは

1610年に完成したシェイクスピアの悲しみあり、可笑しみあり、恋のロマンスありの演劇です。内容を全く知らずみましたがとても楽しめました。以下舞台全体のストーリーなので、舞台を観る前や原作を読む前に内容を知りたくない方は読まないでくださいませ。


舞台はクリスマスのシチリア。とても仲の良いシチリアの王・リオンディーズケネス・ブラナー)とボヘミアの王・ポリクシニーズ(ハドリー・フレイザー)が、ちょっとしたきっかけで自分の妻・ハーマイオニーミランダ・レイソン)とボヘミア王の仲を疑う。周りの声も聞かず、ボヘミア王の暗殺を家臣カミロー(ジョン・シュラップネル)に命じ(家臣はボヘミア王の無実を知り一緒にボヘミアへ行く)、妻を牢獄に入れる。妻は牢獄で妊娠していた娘を産むが、その乳児が誰の子か疑う王は別の家臣・アンティゴナス(マイケル・ペニントン)に乳児をボヘミアに捨ててくるよう命ずる。王の幼い息子マミリアス(ルディ・グッドマン)は母である王の妻を心配するあまり死す。そのショックで妻は死んだとアンティゴナスの妻パーディダ(ジュディ・デンチ)に告げられる王。アポロン信託によりすべて自分の誤りだったと気づいた時は既に遅く。16年もの間懺悔の日々をすごす。
一方、舞台は16年後のボヘミアへ。16年前ボヘミアに捨てられたシチリア王の娘パーディタ(ジェシー・バックリィ)は、羊飼の親子に拾われ美しく成長。ボヘミア王の息子フロリゼス(トム・ベイトマン)と愛を育んでいた。が、身分違いの恋がボヘミア王にばれ、追放。現在はボヘミア王の側近になっていた元シチリア王の家臣は2人に助言し、ともにシチリアへ。羊飼の親子もシチリアに向かい、その証言により娘がシチリア王の娘だとわかる。また、王同士の和解も。そして、死んだと思っていた妻は生きていたのだった。

様々な感情でゆさぶられる舞台

1幕序盤ではシチリア王、妊娠中の妻ハーマイオニー、息子とあたたかい家族の姿が見られるのだが、ボヘミア王と妻の仲を疑うや一転してシチリア王の疑心が膨らみ連続して起こる悲しみとの対比が印象に残る。観ている方から見れば、滑稽にも感じる王の「疑心」だが、一旦ある疑惑を感じそれを真実としてしまえば、どんな出来事もその疑惑にふさわしい意味を当てはめてしまう姿は共感もでき、やるせない気持ちになる。人は自分が思うように世界を見るものだから、そう思ってしまったら、それ以外の角度から見るのが難しい。
劇中にでてくる絶対的な意味をもつアポロン信託のお告げを得てやっと自分の考えの過ちに気付くこと、その時には既に妻は無くなっていると伝えられ、自分の愚かさにやっと気付くのがやりきれず、とても悲しい。悲しいけれど、それが、思い込みにより真実が見えなくなる、という人間らしい姿にも見えて、なんとも言えなくなる。

そのシチリアでの悲しいお話とは逆に、第2幕ではボヘミアでの明るく楽しいシーンが印象的で笑顔になる。ちょっと間の抜けた羊飼の親子に育てられ美しく育った王女パーディタを中心に、農家の人々が生き生きと踊る姿、農民に変装した王子との愛情溢れるシーンには心がキュンと温かくなった。人を好きになるって、やっぱり素敵なことだ(*^^*)
身分違いの恋が王にばれて、運命のいたずらでパーディタの本当の故郷であるシチリアに戻り、16年ぶりの親との再会。娘が本当の親元に戻り、友や妻に反省の意を伝えることができたとはいえ、完全に昔と同じ幸せな関係が戻ることはないのかもしれない。絶望を感じても懺悔を重ねても取り戻せないものはもちろんある。が、懺悔の先の希望を信じたいとも思うから、最後死んだと伝えられてた妻が生きており、娘とまた生きて会えたことにぐっとするものがある。くるくるとめまぐるしい感情の変化に、人間の中に生まれる様々な感情が散りばめられた物語だと思った。

シェイクスピアの本を手にとってみようと思うきっかけをくれた舞台だった。

映画館でストレスなく見られる作品

ロンドンギャリック劇場が小さめながらとても芸術的な劇場でため息がもれた。美しい〜
舞台の映像化では「映ってないところがみたい」という気持ちになることもあるのだけど、アップの画面だったり、小道具だったり、その時注目して欲しいところがうまくうつされているのか、ストレスなくみることができた。
上映開始前や休憩中のちょっとした映像があって、より舞台を楽しむことができました。

映画館での上映の機会は限られていますが、オススメの作品です。

「ブラナー・シアター・ライブ」
https://www.btlive.jp/
冬物語
https://www.btlive.jp/winterstale